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重罪裁判所のメグレ

メグレ警視シリーズ17。
今回は珍しく裁判所の場面から始まる。
フランスの裁判所制度はよくわからないが、重罪裁判所と言うのは、刑事事件の殺人や強盗などの重大な犯罪を扱う裁判所なのだろう。
陪審員制度はあるようだ。

自分の伯母と彼女が面倒をみている幼女を、殺害し金銭を強奪した罪で起訴されたある男の裁判で、メグレは証人台に立つ。
だが、メグレはこの重罪裁判所が好きではないのだ。

以下引用
「重罪裁判所は、彼にとって、自分の職務の中でもっとも辛く、もっとも憂鬱な部分を象徴していた。行くたびに同じ苦痛を感じる。
あそこでは、すべてが歪められてはいないか?それは裁判官や陪審員や証人の罪ではない。
法規とか訴訟手続きとかのせいでもない。生きている人間が、言うなれば、いくつかの言葉、いくつかの判決文にいきなり要約されてしまうからだ」
引用終わり

現場で何日も被告と向き合い、足で捜査した刑事であるメグレらしい言葉。
つい最近、奈良で行われた裁判のことを思ってしまった。

裁判所でのメグレの証言により、、読者も事件の詳細な事実を知らされて行く。
被告人である額縁作りの職人ムーランは、犯行を否定している。
しかし、無実を証明できるアリバイも証拠も無く、かなりの金額の支払いに迫られていて、その当てが無かったと言うことだけが、事実としてわかっていた。
その上、彼の犯行を示す物証が発見されてしまい、彼は起訴された。

しかし実は、メグレはその後も捜査を続行していて、別人の犯行を疑わせる重要な証人を複数発見してしまっていたのだ。
新たな証人達が証言して、その内容に傍聴席も騒然となり、被告も愕然としてしまう。
そして被告は嫌疑不十分で無罪となり、職人ムーランは釈放されるのだが…
事件は予想外の方向へと向かって行ってしまう。

メグレの刑事としての勘の鋭さが、ある殺人事件の真相を暴く。
浮かび上がって来るのは、一生に一度の恋をして結婚した男と、浮き草のような生活が嫌になり、ただ安定を求めて結婚した女との残酷なすれ違いの結婚生活。
二人の暮らしていたアパルトマンの描写をするシムノンの筆は、具体的で容赦が無い。
全く違う種類の人間が、運命のいたずらで夫婦になってしまったが故の悲劇。

メグレの視線はムーランに同情的である。

以下引用
「彼は控え目な強情さをもって自分の道を歩いてきた。必要とあれば大きな茶色の頭を落とし、運命が彼により寛大であるように思われるときには頭を起こして。
要するに、彼は自分の愛のまわりに自分自身の小さな世界を築き上げて、それに全力をふりしぼってしがみついていたのだ」
引用終わり

メグレものは推理小説であり、警察小説であるけれど、まず小説として心に残る。
だから、又メグレを読みたくなってしまう。



# by agneau2020 | 2026-02-06 12:42 | 読書

昨日ようやく入場券が届いたので、夕方に夫と投票所へ行って来ました。

バス停で待っていると、六甲ケーブル下から来たバスが停まって、外国人観光客の、小さいお子さんを連れた家族や、キャリーバッグを持った方達が多勢降りて来ました。
六甲ケーブルは4月まで工事中なのですが、代替バスがあるようです。
見たところ、南の国の方々だったようで、多分六甲山の人工スキー場の雪がお目当てだったのではないかと想像。寒さは大丈夫だったのかな?

昨日は気温も上がって暖かかった事もあり、期日前投票所はとても混雑していて、エレベーターの中も満杯でした。
みんな、首を長くして入場券待っていたんでしょうね。
週末は又寒波到来と言う予報も出ていたし…
慣れた係の方達のおかげで、スムースに投票は終了。

投票を済ませた後、早い時間で人もまばらな飲食店で、ビールと共にゆっくりと夕飯をいただきました。
帰りのバスは、帰宅を急ぐ方達で満員。
家に着いた時はまだ7時過ぎでした。

とにかく投票が出来てやれやれですが、新聞各社の予想を見ると暗澹たる気持。
人気が高いと言うだけで、真冬に、勝手に、突然、解散。
疑惑が次々報じられる中、選挙期間中たった一回のNHK党首討論をドタキャン。
同じ日に全国各地を応援演説に飛び回る。

こんな自己中な人物に、白紙委任状を与えようとしている人達が大勢いるなんて!
直近では、「憲法改正やらせてください」とついに本当の目的を自白したと言うのに!

このまま、不意を突かれて、ムードに乗せられたまま、この国が再び、POINT OF NO RETURN を越えてしまわないことを、ただ祈るのみです。


# by agneau2020 | 2026-02-05 14:33 | 日々のこと

入場券が届かない

全くもって、迷惑千万な身勝手にも程がある今回の衆議院選挙。
腹は立つけれど、棄権するのも嫌だし、投票に行こうとは思っているけれど、公報も投票所入場券もまだ来ない。
急だったから、準備が間に合わないと言うのは、ニュースでやっていたから知っているが。

気になって調べてみたら、神戸市は2月3日過ぎないと来ないらしい!
それって、投票日の5日前ですよね?
期日前に行こうが、当日行こうがどっちでもいいかも。
毎日が日曜日の我々年金生活者はいいとしても、当日はどうしても用事があると言う人も多いでしょうに…

入場券無くても名簿で確認出来れば投票できるそうだけれど、名前や住所、生年月日とか全部自筆で入り口で書くことになるだろうし、時間がかかりそう。

夫の意見も聞きつつ、来週になって少し暖かい日があればその時に行こうかくらいの感じです。
雪の無い神戸に居てもこうなんだから、雪国の人達は本当に気の毒です。
絶対、投票率低いだろうなあ。

それでも勝ったら、「信任されたんだ」と胸張る姿が想像できて、今からウンザリ。

# by agneau2020 | 2026-01-30 14:20 | 日々のこと

メグレと宝石泥棒

メグレシリーズ、今年二作目はやはりモンマルトル界隈の事件。
モンマルトルでレストランやクラブを何軒も経営している裏社会の大物が、自宅のアパルトマンで射殺されているのが、同居する若い愛人によって発見される。
凶器は被害者の所有するピストル。
彼は車椅子生活になっていて、外界との交渉は全部その愛人が行なって来ていた。

同じ頃、パリでは宝石店襲撃が相次ぎ、メグレは被害者が裏で糸を引いているのではないかと疑っていたのだ。
メグレは部下を使いながらも、自身で関係者を捜査していくが、怪しい人物は見つからない。
管理人に聞いても、殺害時にアパルトマンを出入りしていた者がいないのだ。

そこでメグレは、六階建て、各階ニ部屋のアパルトマンの住人全員を訪問して、調べて行くことにする。
ここら辺、人間模様の多様さが、シムノンによって見事に描き分けられていて、まるで映画を観ているように住人たちの暮らしぶりが立ち現れて来る。
今作の一番面白かった場面です。
ちょっとした密室ものになっているわけで、謎解きミステリの本髄。
そして部下たちをあちこちに走らせ、自身も徹底的に現場に赴き、メグレは真相を暴き出す。

事件の前には、郊外の別荘で夫人と水入らずでのんびりと週末を過ごし、捜査の合間にも、新任の人の良さそうな判事と、昔ながらのコッテリとしたフランスの地方料理を、お勧めのワインと共に舌鼓を打つ。
それが又、涎が出そうなくらいに美味しそう。

人生を、多方面から色彩豊かに描いているメグレシリーズには、やはり魅惑されずにはいられません。

# by agneau2020 | 2026-01-28 12:08 | 読書

編み物ふたたび

編み物ふたたび_a0399939_10471374.jpeg

冬籠りの徒然に、又毛糸を手にしました。
昨年、三宮のユニオンでバーゲンの時に小物用に2玉だけ買ってあったので、帽子と指無し手袋を編んでみました。
帽子は一目ゴム編みで、持っているニット帽のサイズで(ゲージは取って)、輪針で真っ直ぐ編み、てっぺんでぎゅっと絞っただけ。
手袋は、他の方が編んだものを参考に編みました。5本指は大変なので。
少し肩が凝ったけれど、休みつつ出来上がり。

編み物をちゃんと始めたのは、子供が生まれてまだ小さい頃、友人のお母様に月一回くらいお宅に伺い教えていただきました。
製図からしてくださったので、セーターも編めました。

家庭科苦手の私ですが、棒針編みだけは好きでした。母もよく編んでいたし。
母がほどいて、やかんの湯気で伸ばした毛糸を、私が両腕にかけて、それを母がクルクルと毛糸玉に巻いていくお手伝いをよくやりました。そう言う時代でした。


編み物ふたたび_a0399939_11462014.jpeg


これは習っていた頃編んだセーター、毛糸はユニオンで買ったイギリスのもの。
80年代は、こんな極太のニットも流行ったのです。
細い糸で繊細に編む根気良さも無かったし、スポーティーなのが好きだったので、太い針でいつもザクザク。

もう40年近く前のものですが、未だにこんな厳冬期には愛用しています。
手編みは空気をたっぷり含んでいるので、本当に暖かいのです。
見た目ほど重くはなく、いい毛糸で編んで良かったと思います。

# by agneau2020 | 2026-01-24 11:33 | 日々のこと